HOME > 事例紹介 管理会計
施設設備維持20年計画の活用で、経営戦略の骨子となる予算計画の立て方を浸透させて財務内容の良好な会社となる。
N県のホテルMは、収益力の低下から改装を含む経営改善を計画していた。 建物は築25年を超え施設設備の老朽化が進んでいたが、今後いつ何に対する施設設備投資がどの程度必要となるかについて、正確な認識ができていなかった。 曖昧な投資計画のもとでは曖昧な経営改善計画に成らざるを得ず、収益改善への道は困難を極めていた。
旅館ホテルは、人的サービス面から労働集約産業である一方で、客室・浴室・厨房・ロビーをはじめ建物設備に過大な投資が必要なため、装置産業ともいえる。通常、装置産業は設備更新が必要であり、その耐用年数を把握し、メンテナンスにて耐用年数を長期化することが必要である。
しかし、多くのホテル旅館は、設備購入や改装後の建物設備状況に目が行き届いておらず、高い離職率からメンテナンスもままならない状況であり、業者の言いなりとなっていることが多い。ホテル旅館では、まず建物設備の現況を正確に把握し、メンテナンスを充実させるという改善に取り組むことが資金繰りの面でキャッシュアウトを食い止める効果が高い。
現況を把握するツールが、LCC(ライフサイクルコスト)表と、FFE(ファニチャーフレキシブル&イクイップメント)表である。
建物全体、全設備、全備品を洗い出し、老朽化の状況を踏まえ現況を把握する。各項目の通常耐久年数を把握し、今後20年間の修繕投資計画表を作成した。
LCC、FFEを基に、給水給湯管、キュービクルの老朽化と交換費用を把握したことで資金繰りを再度見直すことができた。そもそも当該設備交換を無視していた無計画であったことから、元の大規模改装計画を、現実的な改装計画へと落とし込むことができた。
計画も単発の改装計画ではなく、3年後の小修繕、5年後の小修繕、10年後大規模修繕といった規模の違いに併せた改装計画を立てることが可能となった。
これにより建物設備の現況に沿った、現実的な長期的な経営改善計画を立てることができた。