HOME > 事例紹介 レジャーホテルから一般ホテルへの業態転換
従来のレジャーホテル施設設備の強みを生かしつつ、需要増が見込めるインバウンドや国内旅行客(子連れ家族や
高齢者)を中心としたマーケティング計画で顧客の獲得を狙い、高収益事業となる一般ホテルへの業態転換を実現
する。
N県にあるレジャーホテルNは、事業計画を軸に事業の再構成を考え、一般ホテル化への道筋と金融機関からの改装資金の獲得を検討しており、事業計画書の作成を支援することとなった。 Nの主要な顧客層は、ホテル立地の近隣エリアに住む20~40代カップル主体であり、顧客ターゲットは狭い。加えて、近年の人口減少と若年層のセックスレス化に伴いレジャーホテル利用者数は減少しており、同地域での利用者対レジャーホテル数で考えると、需要過多であった。 また、レジャーホテルのうちラブホテルは宿泊利用可能な設備を保有するものの、風営法によりお子様連れのご家族の利用や広告宣伝が規制されており、観光客の宿泊ニーズに対応できなかった。 一方で、N県では、インバウンドを中心とした観光客の増加は著しく、宿泊施設の不足がみられた。この宿泊需要の機会を捉えるべく、これまでの狭い顧客ターゲットから、世界中の0~100歳の多様なお客様に受け入れられるホテルへの業態転換を図る必要があった。
本件は、根本的な事業の見直しがまず必要となるか検討するため今一度事業の総括を行うこととした。外部環境分析・内部環境分析を含めたSWOT分析を中心に、事業分析を再度試み、レジャーホテル事業の撤退と業態転換を行う意義を再確認した。 特筆すべきは、周囲のシティ・ビジネスホテルの競合他社状況を含めた綿密な外部環境分析を実施することで、投資金額に見合う価格設定とそれに伴う収支イメージを明確に持つことが可能かどうかである。 各競合の立地、施設設備のレベル、繁忙・閑散期の提示価格状況のモニタリング、顧客レーティング情報の収集等、極めて多角的に状況分析し、マーケットを正確に把握することができ、業態転換後のホテルの展望として明るいものであることが認識できた。
外部環境分析(抜粋)
そして、STP分析を実施することで、ホテルNが捉えるべき顧客層を明確にし、ホテルの位置づけをポジショニングマップにプロットすることで競合を回避し差別化を図ることができることが確認できた。この結果、ホテルの方向性として、スモールラグジュアリーホテルとしてのコンセプトを定めることができた。
ポジショニングマップ
マーケティングではシミュレーションを実施し、顧客ターゲット・客室構成イメージ・客室価格設定イメージ・客数予測・プロモーションイメージを明確化することで、次の返済計画財務計画のもととなる、設備投資金額や収支のイメージについて具体的な数字に落とすことができた。
他社価格分析と価格設定(抜粋)
マーケティングミックス(抜粋)
プロモーションミックス(抜粋)
特に、風営法要件についての改善案提示は、当社バルシアにはノウハウと強みがある。法令違反ではない運営及び施設構造要件となるよう、各項目をすべて洗い出し詳細について改善提案を実施した。
風営法要件提案(抜粋)
具体化された客室イメージと運営方法で、競合他社と当社との位置づけが明確化されれば、設備投資のちょうどいいボリュームやコストのかけ方の概算が決定可能となる。 複数調達機関を想定しながら、制度資金等活用を踏まえ返済計画を立案した。新事業開始後3か年の損益計算書、キャッシュフロー計算書、貸借対照表を作成し、新事業による黒字転換と、事業発展の予測ができ、本事業を推進することの確信を持てることとなった。
財務PLイメージ
レジャーホテルの良い部分を生かしつつ投資を抑制し、無事スモールラグジュアリーホテルへと生まれ変わり開業することができた。 概ね計画もイメージ通りで、投資抑制の結果シンプルな外観とはなったものの、レジャーホテル特有の充実した室内設備やデザインを生かしたことで高い顧客満足度を維持し、安定した事業運営ができている。 マーケティング戦略は計画通りとなり、ネット中心の宿泊予約とし、クチコミマーケティングを生かせる素地ができた。結果として、投資額をマーケティングの工夫で補完することに成功した。
客室
外観
ルームサービス(省人化を意識し、お弁当としている)
クチコミ評価(楽天トラベル・じゃらん:開業2か月後 時点)
この事例の料金は、約120万円となります。